2024年3月。日経平均がどんどん上がり、ついに4万円台に突入しました。ただ、生活が豊かになっているという実感はあまりありませんね。そんな中で、今日は『国民生活基礎調査』を読んだ感想をつらつら書いていきたいと思います。
目次
国民生活基礎調査を読んで:世帯所得が上がっている?!
1996年、2008年、2022年それぞれの世帯主の年代別平均所得金額の推移をグラフにしました。単位は万円。
参照元
- 平成8(1996)年『表6 世帯主の年齢階級別にみた1世帯当たり・世帯人員1人当たり平均所得金額』
- 平成20(2008)年『II 各種世帯の所得等の状況』ー>『3 世帯主の年齢階級別の所得の状況』
- 令和4(2022)年※『図 10 世帯主の年齢階級別にみた1世帯当たり-世帯人員1人当たり平均所得金額』 より値を取得し、グラフを作成。
1996年から2008年にかけては全世代で平均所得が下がっていますが、2022年になると70代以外の全世帯で上がっていることが分かります。とくに30代で100万近く上がっていますね。働く女性が増えたことで世帯所得が押し上げられたのだと推察します。それにしても、ほぼ全ての世代で世帯所得が上がっている、というのは意外でした。もしくは、(手取りは減っているけど)家庭内の働き手が増えて、見た目上の世帯所得が上がった、ということなのでしょうか。
また、気になるのが40代から50代の所得の伸びが年々鈍化していることです。40代からはほとんどの人の給与は伸びない、というように見えます。転職できるスキルを身につけるか、副業を始めるもしくは会社員を辞めて独立するか。収入を増やしたいなら考えて動かないとまずそうです。
10年後はどうなっているでしょう。今より子どもを持つ家庭が減り、共働きで女性もバリバリ働く世帯が増えれば、30代の所得はもっと伸びるかも。定年が伸びたり年金受給開始年齢が引き上げられたりして、60代になっても働き続ける人が増えるとその世帯の所得も増えそうですよね。10年後の予測値を赤線で表してみました。ただ、もしこうなったとしても「以前より経済的に豊かになった、幸せだな」と思えるのでしょうか…。
国民生活基礎調査を読んで:世帯の平均人数が2人を切るかも
人口は減っているのに世帯数が年々増えています。つまり一世帯あたりの人数が減っています。2021年から2022年の一年で、平均世帯人員の数値がグンと減っています。これから団塊世代が80歳になり、夫婦どちらかに先立たれて一人暮らしをするお年寄りも増えるでしょう。結婚せず一人暮らしの若い世代も増えそうです。このままいけば、平均世帯人員が 2.00 を切る日も近いのかもしれません。
参照元
※グラフは、国民生活基礎調査2022(令和4)年『I 世帯数と世帯人員の状況 』より抜粋
国民生活基礎調査を読んで:介護は家族ではなく事業者が行う時代に
働く世代にとって介護もこれから深刻化する問題の一つです。2001年(平成13年)には、同居家族が介護する割合が71.1%でした。
参照元
※グラフは、国民生活基礎調査平成13(2001)年『III 介護の状況』より抜粋
それが、2022年には同居家族が45.9%とかなり少なくなり、家族でもなく「事業者」が15.7%と多数を占めるようになっています。今後も高齢化が進み、高齢の親とは別居する家庭が多くなることを考えると「事業者」の割合は増えそうですね。介護は「家族が行うもの」ではなく「事業者に頼るもの」になっていくでしょう。というか、「不詳」ってなんでしょうね。
参照元
※グラフは、国民生活基礎調査2022(令和4)年『IV 介護の状況 』より抜粋
国民生活基礎調査を読んで:データから将来のことを考える
以上、国民生活基礎調査を読んだ感想でした。個人的な感覚とデータでは違うところも多くて興味深いです。今回は時系列(タテ)で比較してみましたが、海外(ヨコ)と比較してもまた違った気づきが得られそうです。
子どもが生まれて「この子たちが大人になったころの日本はどうなってるんだろうか?」と考えることが多くなりました。うーん、なかなか明るい未来を描くのが難しいです。